カレーたまごの日記

小説やノベル、文芸について書きます。

竹中平蔵の本が面白い。

竹中平蔵 市場と権力 「改革」に憑かれた経済学者の肖像」を楽しく読み進める。日本人の作者しかも日経記者出身の佐々木実氏が書いた。いろいろ賞を獲得しているノンフィクション作家だ。

いろいろと悪評高いそれでいて政商まがいの実利にも貪欲な経済学者である竹中平蔵という人物を入念な取材調査と簡潔な文体で描く。権力や権勢を後ろ盾に政策集団を主宰して利権獲得のスキームをフレームアップする。そもそもが経済学と政治権力の合体の功罪。米国の外圧を民営化して米国に倣う政策変更とその提言実行の流れ。様々な民営化のビジネスチャンスを狙い実現してきたタフネスな人物像。国民のための政策というよりは私利私欲の権化であり詭弁多弁の才覚もある。毀誉褒貶の経済学者であり政策立案と実現力が今のこの日本の病理を加速させた。彼の仲間たちとの共闘の分析も読んでみたい。