案の定、ごった返しの渋谷のサタデーナイトではなかった。主人を待つハチ公のモニュメント。いつもならぎっしり人で溢れる場所だけど。こんな閑散とした感じの渋谷がいつまで続くのか。漠然とした不安も漂う。
人生は別れが全てである筈もなく。井伏鱒二の名訳によって凄まじく逆説めいた言説が遺った。それこそ「花に嵐の例えも」あるかもしれない。価値ある人生を送った方がいいけど、だれがその価値を決めるかは自ずと自明だ。それは生きゆく自分だけだ。
出会いとその繰り返しの待ちぼうけ。人生は時間の中にしかない。生きている間のその時間の中だけ。当の本人の時間の中だけだ。回顧や追憶は生きている時間の中だけの話。
その先にスクランブル交差点が見える。外出禁止令も出せる政治的状況だ。もうすぐかも知れない。