カレーたまごの日記

小説やノベル、文芸について書きます。

ワニ死んで思うけど。

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桜も咲いて、気温も20℃を越す日々がきた。寒さも彼岸まで。3.20も過ぎた。

 

まぁプロのクリエイターが毎日、100日も連続でツイートした4コマ漫画の余韻がある会社の企画だったからと作品それ自体までもその連載中の得難き時間の共有までも否定しかねない話になっていくのは違うと思う。別に電通案件だって気にすることはない。そもそも電通が企画しなかったならば日の目を見なかったかもしれんよね。

 

平成元年の初冬にブームとなった「一杯のかけ蕎麦」の顛末を思い出した。時は自民党政権朝日新聞の調査報道に端を発したリクルート事件によってバブル真っ最中の金権政治が最高潮にあった竹下登首相に対して追撃の国会質疑でほぼ全文朗読した議員も出た。そのとき金の延べ棒で辞めた金丸も泣いたとかの逸話もあるのだけど。その後日本のメディアのお得意の揚げ足取り、後だしジャンケンで作者の不祥事発覚でもってブームは去った。そのブームの過程で電通はこの作品の映画化を仕掛けた。

 

後になってこのお涙頂戴のお話を読んだ。涙腺破壊のいい話だった。この感動は今でも鮮烈だね。文芸作品ですよ。これぞ。

 

だから中身そのテクストの快楽をまずは味わってみる。ワニだってそうだよね。みんなワニを自分に置き換えて「もし自分が100日目に死ぬ」ってなったらどうしよう。まるでジョブズのように、毎朝、今日死ぬ自分をイメージして悔いなき日々を過ごす、みたいなことになっていたのかも知れない。でもワニだって自分が100日目に死ぬなんて気づいてすら居ない。だからいたたまれない。本当に死ぬのかなぁ。死んでほしくないなぁ。でもやぱり人間誰しも死ぬわけだし、このワニも死ぬんだろうな。どんな死に方になるのかなぁ。ロランのバルトが言うように人のセックスと話の次を知りたがるまさにセオリー通りの物語の有り様だけど。

 

ワニも映画となって作品世界でいきるのかな。ブームの作り方、ネットマーケットの仕掛けなど議論を呼んでいるわけだけど。仕掛けの種明かしってやらんほうがいいのかもしれないが。自作自演の狂言誘拐みたいでなんかね。

 

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