カレーたまごの日記

小説やノベル、文芸について書きます。

秋の烏賊墨パスタを「セクシーに」賞味あれ?

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 烏賊墨パスタ。今流行りのブラック志向だよ。真っ黒。墨だからね。タコの墨も美味しいらしいけど、ベットーラの落合シェフがどこかのテレビで喋っていたけど「蛸は稀少なんですよ。本当は蛸のがいいんです」みたいな趣旨だった。

 でも烏賊墨だって魚介系の王道。海の幸のプリンセス。墨汁が飛び散る背徳の後ろめたさ。どころか、勢余ってそのまま全部、注入してしまうあのお粗末な時短顛末。功利と効率に支配された責任は全部、アンタぁ!みたいな回避の忌避。放置の無視。ブラック企業とかブラック労働とかホント敗北主義でいかんぜよ。

 『人間失格』蛭川美花監督の映画できたらしい。今朝の『ボクらの時代』に宣伝で主演の小栗旬沢尻エリカたちが出演して言いたい放題喋っていた。このトーク番組もだんだんマンネリ化しているのは、俳優女優の連中って自分たちのサクセスストーリーと演劇論がメインなんだ。演劇って何なんだろう。演じるって生きることでいいんじゃないの。よりよく生きるそれを演じ切る。監督とか裏方とかの名前全部覚えてます。台本丸一冊全部暗記して現場に来ました。

 太宰治の実像ではなく、その文学ではなく、格好いい俳優が堕落した風の演技で文学から見え隠れする人間太宰の失格を描くのか知らないが。でもあの時代、合法ドラックがあって、しかも薬物中毒だった太宰。学生の三島由紀夫だって登場しないとおかしい。師匠の井伏鱒二もさもありなん。色恋に終始したモテ男太宰..。敗北のダダイズム。その逆切れの居直りで書いた「道化の華」がたまたまノミネートされたあの芥川賞..。選考委員の佐藤春夫に懇願の手紙を書いて送った。桜桃忌も近いけど。

 パフォーマンスの是非で言えば、環境問題をセクシーに解決ってどんな言い回しなんだか。ご丁寧に、公共の空間で発してはならない語彙だという輩氏もいらっしゃるさぞ興奮して口臭香しいかも。怖い怖い。三島由紀夫の『天人五衰』という自決事件後に刊行された四部作『豊饒の海』の最終作にある。東大を目指す主人公に現役東大生の家庭教師が就く。しかし左翼運動をやっていて大学当局からも問題視された人物だった。デマで解雇される。責任転嫁の利己的な風潮が強い昨今では、セクシーな言動すらも問題視される。もっと自己の言説の環境を見据えてやってもらいたい。

 

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