カレーたまごの日記

小説やノベル、文芸について書きます。

『作家の収支』森博嗣を読む。

 

 森氏の小説は読んだこと無い。でも国立大学の教員をしながら、作家をしていたのは知っていた。海堂氏は医療関係。

 その専門職が作風に生かされる。面白いのは、小説を書くのも読むのも楽しみでない、とか。

 太宰治の師匠であった井伏鱒二のように森氏は多趣味だ。

「庭園鉄道」4トントラック7台分もあるとか。

 今や引退、毎日趣味に明け暮れる。寝る前の1時間を小説労働に充てるらしい。それでも6000文字打ち込めるらしい。小説は労働と割り切るのは、村上春樹もそうだし、田中慎弥もそうだし、みなそうだろう。書いたものがお金になる。労働以外の何ものでもない。

 でも「小説家は芸術家」とはっきり書いている。お金に凄く執着している。大学教員しかも国立大学で働いていたのは、やはり経歴的に特殊だ。役得のオンパレード?多分。

 例えば少年が毎日、新聞配達をしてお金がもらえる日が一番素敵なのと同じだ。お金の為に新聞を配る新聞少年、小説作家も同じ労働感覚だね。

 自作小説のネタや創作方法を「小説」に求めない。でも思うけど、猫好きの保坂和志なんかも、小説の独自性はやはり「他の小説」からではなく。世界と自分という関係性でしかない。

 新しいものを創作するため、実生活を楽しむ。その果実が小説に昇華される。そのささやかなご褒美が、作家の収入となる。

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