小説を読んでいると美食のシーンでは自分が実際に食した美味経験の感触を喚起再現される。その反対も然りでリアルな美味しさを味わう時、文芸のグルメエッセンスが倍加される。相乗効果なのだが脳内イメージが様々な状況に降り注ぐ感覚だ。
開高健「闇三部作」未完の「花終る闇」を少しずつ味わいながら読み進める。ベトナム戦争従軍シーンの回想や傑作が書けず自分の内面のイメージが漂う描写が楽しい。緻密な詩境を膨らませてまるで美食礼讃の暗喩とも直喩ともなってメタフォルカルな文芸テイストが味わい深い。
美的感動は感覚の総動員がなされる複合的多層的な内的事象だから記憶も無意識領域から抽出されるのだろうか。魑魅魍魎の雰囲気。
今日は勤労感謝の日だ。明日も同じような気温になるらしい。