カレーたまごの日記

小説やノベル、文芸について書きます。

七夕。小説「大鮃」を読んでノベル「鱸」を。

自然災害で大変だけど東京は最高に暑い。ノベルを考えている。きっかけは藤原新也の小説「大鮃」を読んだんだ。懐かしい作家だ。「東京漂流」や「藤原悪魔」といったエッセイやら随筆のような粋な文体の作品が印象的だけど。最近の生協のコラムなんか面白いよね。氏は新宿に百人町に仕事部屋があるらしい。作家の佐藤優氏は書庫がある箱根だけでなく新宿曙橋に自宅があるそうだけど。なにやらお仕事は新宿界隈が利便性があっていいのだろう。

「大鮃」はよかった。保坂和志的には「小説の自由」はないけど。宮本輝の「泥の河」だってくそみそだからね。お話だの物語だのは小説ではないというスタンスなんだ。文学文藝におけるインプロビゼーション。真なる即興性が小説の自由だから物語や説教なんかは全く不要らしい。でも音楽でもそうだけど自由勝手に好き放題アドリブやったらセッションなんかできない。山下洋輔三人組のような「フリー」ジャズだね。普通に雑音、しかも音が大きい。たまったもんじゃないかもよ。

大きな鮃の「おひょう」という巨大魚を釣る話だ。作者が実際にスコットランドの北端のオークニー諸島へ旅して着想したという。この異時空の視点を獲得出来て初めてフィクションは立ち上がる。居ながらにして時間へのノスタルジーな旅に出ることも可能だけど。でもやはり旅は圧倒的に創造的主体を刺激する。この小説の活字書体がいいんだね。凄く。

「父性喪失」の再生とかいうけどどうなんだろう。依存症で心理カウンセリングを受けた主人公の太古くんが精神科医の勧めで「父親の生まれ故郷へ旅する」話なんだね。でも旅なんかできないよね。実際問題。会社忙ししお金ないし。選挙もあるんだろ?会合もあるわけだし。

「鱸」って題にしてみたんだ。会席料理の夏のお魚さ。割烹料理の一汁三采だね。テーマは鮮魚だから。季節折々のお魚を「お造り」「焼き」「煮る」そして「お椀」あとはお食事に水菓子だけど..。和食にも食後の5cがあってしかるべきなんだね。そこでシングルモルトハイボールで戴く。しかも会話を楽しみながら。和食では肉を食べてないからあっさりしていいよね。脂がのってても白身魚がメインだからね。

四国の海から鱸が届く。この奇跡の食材がどう食されるか。命の贖罪の物語だ。生命流転の果てに。種の壁さえ突き抜けて..。楽しみだね。

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