この連休は昔読んだ小説をぱらぱらり。
宮本輝「避暑地の猫」再読数回だけど今回も楽しく面白い。この作家は毎年、軽井沢の自分の別荘に行って小説を書く。軽井沢執筆生活。避暑の創作。
学生時代にゼミの教授の軽井沢の別荘に泊まったことがあるけど、凄い霧が出る。町を走行する車種はほぼ全てベンツ。富裕な連中の数珠つなぎ。
「半年分の外書講読の和訳をするのだよ。もう終ったがね」
知識人たるもの軽井沢に赴き知的生活の模範を示さねばならない。
確かに優雅な別荘ライフが出来るのは夏休みが何ヶ月もある大学教員か作家ぐらいなものだ。でも週末とかピストン往復で楽しむのもいるだろう。
今日も都心は気温が上がって28℃になったらしいけど。気温が上がって東京も何処も彼処も避暑したくなる。
なのに「クールビズ」とかのノーネクタイはいいけど、エアコン温度設定を施すとかのなんとも不快な悪習なんだろうな。いつまで続くのかな。ネクタイ屋さんほんと迷惑だよね。洋服の青山とか怒らないのかな。スーツ要らんわけでしょ。
団扇を扇ぎながら内輪揉めにならないよう温度も快適に設定すべきだけど。
宮本輝の小説は物語が楽しい。本作はエロスと殺意が陰湿に蠢く。多分「泥の河」のような淫売の悲しみがある。若い女性が自分の性と引き換えに強かに未来を志向する物語が多い。
川三部作とか青春シリーズとか「流転の海」ライフワークとかこの作家はどこまでも物語を書き続けるのだろう。
思うけど楽しい。読んでいて本当に楽しい。それは内容の暗さや遣る瀬無さを越えている。
ただ、お金持ちと貧乏人の対立軸はもう古いよね。韓国ドラマのような財閥と使用人の物語。まぁもうかなり昔だからしょうがない。
でも傑作だなぁ。