かつての猫たちがいた。確か2010年初夏に生まれた四匹のうちの二匹だ。雌猫三匹牡匹。アカメとコセガレ。チャトラの子猫が生まれて一年目にボス猫のデフと和合交配した。2011年3月の大地震の前の話。
この一帯界隈では野良猫排除の行政判断と近隣の猫嫌いの民意が重なって去勢祭りがあった。彼らは断種の印に耳を削られている。繁殖と排除。地域猫を守ろうと警察沙汰にもなる。猫好きのコミュニティのひちたちの話も聞いた。
ネットでは猫の配信が大人気だ。ブログも猫ブログが上位を独占する。愛猫そして愛犬。
飼い猫を店のオーナーにしていた飲食店の店主を思い出す。猫は親愛と神秘さで人間を魅了する。内猫にしなくても野良猫がやって来れば餌をあげたりもする。作家内田百閒「のらや」はそんな猫の交流が描かれた。猫はいつの間にか消える。でも運が良ければ今日みたいに再会できる。これは本当に奇跡なのだ。
