カレーたまごの日記

小説やノベル、文芸について書きます。

ノベルつれづれ

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 ノベルを書いている。『菩薩ガール』

 2012年になって銀座伊東屋へ「紳士なノート」C.D.NOTEBOOKを買いに行った。

信じてください、シルクのようななめらかさ。

 そうね。シルクというよりカシミアの肌触りね。物を書くとき圧倒的に手書きがいい。何故なら。理由なんか要らない。事実だから。

 宮本輝が『流転の海』を完結した。三十七年かかったらしい。実父を主人公に自分の家族を中心に庶民史を描いたという。時代を描くのは難しい。その背景の政治や経済という社会性と同時代性を描くのが難しい。

 今流行の歴史修正主義的な席巻もあるけど、信念論から繰り出す確信めいた言説は不思議な説得力がある。立花隆天皇と東大』に引用される昭和初期からのナショナリズムの勃興をリードした言論人の言説の熱量の凄まじさ。代表格たる簑田胸喜。その言説によって自らが時代の狂気を一身に浴びまくったように思える。信念の迷妄がますます言質を強める。

 七年前に銀座で手帳を買ってメモした。どんなノベルを書こうかな。やはり記憶から手繰る如かない。楽しい記憶。切ない記憶。悔しい腹立たしい記憶。一番楽しかったのは北海道の旅だった。テントを張ってキャンプしながら礼文島利尻島を巡った。美瑛を過ぎて富良野でサイクリングもした。旅先で出会った人たち。ホテルに泊まらず全て野営した。

 素敵なホテルに泊まって美味しい料理、温泉に入る..そんな普通の有り触れた旅行ではなかった。自分を捜す、自分と出会う旅がしたかった。夏の北海道は自然の宝庫、全国からフリークがやって来る。たくさんの出会いがあった。小説の断片と出会った。新たな自己と出会う旅だ。

 楽しい記憶だけではつまらない。社会的な基軸が欲しい。人間を突き動かすもの。欲望。本能の欲望について書きたい。

 そして音楽も。

 オーセンティックなバーで聴いたJAZZライブがよかった。生演奏の迫力にも感銘したが、この奏者、歌手たちはどんな生活を送っているのか。どうやって音楽で生計を立てているのか。そんな人間的な興味が湧いた。投げ銭で食べていけるのか?

 大都会東京ならではのJAZZな人々の興味深い小説の断片たち。アップルが仕掛けたネット音楽ビジネスによって、それ以前に無料動画によって儲からなくなった音楽ビジネス。だからよりいっそうライブが盛んなのかも知れない。

 遂に自分のサックスもオーバーホールして復活した。マイペースに練習している。JAZZというより、サクソフォーンそれ自体へフォーカスしたい。『サックスガール』

 

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