カレーたまごの日記

小説やノベル、文芸について書きます。

『村上春樹 雑文集』村上春樹著を読んでの雑文

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楽しい読書だった。村上春樹を読む最善のテキストだ。作者と作品。日本人の小説家で一番成功した人物もはや70歳だ。貝が嫌いな小説家らしい。貝と言えば、あれだけど。卑猥な感じかな。比喩の好きな春樹らしくないどころか、かもなぁ。

 

音楽から小説の書き方を学んだ村上春樹だ。音楽特にジャズね。偉大なショスタコとかピアニストから作曲家になった大家の音楽も気になるけど。ジャズはオーケストラとは違って少人数のバンド編成(ビッグバンドもあるけど)なんだね。インナープレイも展開しながら。ピアノ、ベース、ドラムのトリオに招かれたサックスプレイヤーやトランぺッター。カルテットやクインテット。団体や集団の楽団は指揮者の絶対的な存在が醍醐味だけど、バンドは特にセッションのジャズではアドリブ特有のプレイヤーの個性溢れるソロが魅力だ。

 

「あるきっかけで予想もしなかった驚きの演奏ができることがある。そんな瞬間を期待してワクワクしながらステージに上がる」サックスプレイヤー渡辺貞夫は語る。

 

小説を楽しむには作者の小説観も気になる。小説は物語だけではない。作品を読んで未知なる自分と出会うこと、未知なる自分の出現で得た知的な刺激が今生きる自分を刺激する。読者だけでなく作者も未知なる自分が創作過程で出現する。自分の物語に先行して記憶や感情、思考や観念が溢れる。抽出そして濾過、熟成、発酵。様々な知的創造性の時空を経る。文学は事件だ。もちろん物語だけが事件ではない。

 

巻末の安西と和田の対談で安西の発言に違和感がある。ぜんぜんドロドロしてない中華料理だし、南京袋で女の子を連れ去るイメージも無い。比喩がへたというより、おかしい。何が言いたいのか。大好きな村上春樹が中華料理を食べない理由を考えて喋ったのか知らないけど。中華料理が好きな自分としては、面白く無い。

 

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