漫画「ブラックジャックによろしく」の佐藤秀峰という漫画家は出版社から独立して独自なビジネスを行っている。趣味は鱸をルアーで釣るシーバス.アングラーである。心から楽しめる遊びを持つ事で自分の漫画を愛してくれるファンの気持ちがわかるようになったという。
前に「ボクらの時代」というフジテレビの鼎談番組に作家の万城目学と森見登美彦が出演した。万城目が「気分転換しろとよく編集者が言うけど、気分転換に違う作品を書いてみてなんて言うけど。気分転換は書かない事なんだよ。編集者に体よくこき使われているだけだよ」と言うと森見は苦笑した。
出版社は書き手をプロアマ問わず上手に使う。編集者もまたサラリーマンである。フリーでも出版社の編集権には逆らえない。売上至上の厳しい世界。如何に存続するか。
でも出版したい、自分の作品を世に出したい、村上春樹みたいにベストセラーを連発したい。誰だって出版に夢を持っている。
漫画「やれたかも委員会」を書く吉田貴司という漫画家はネットで漫画を書き続けた。インデペンダントに資金を募り書籍化を果たしたのが本作である。漫画の内容もほろ苦い性体験の告白を委員会がジャッジする。コントを審査するように。性行為を不成功だった原因を分析するというか個人の密やかな体験を共有する。誰しも遭遇し突破したいその一線の彼方..。
男子目線なので女子目線「やられたかも委員会」もいいだろう。やったやられたというスラングめいた表現自体、若干卑猥だけど。エロは決してゲロでもグロでもない。
作家の保坂和志は作者の吉田との対談で、純愛シンドロームをうまく扱っていると賞賛した。ストーリーの展開で「委員会」の謎も解き明かされかも知れない。楽しみだけど。