カレーたまごの日記

小説やノベル、文芸について書きます。

密室の防音。

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音大生にとって至福のルームだ。でも冷暖房その他空調はどうなのかしら。

山手通りと目白通りの交差する辺り。路線バスの路線図を見れば、東京音大前の停車場を確認出来た。

確かに騒音が近隣迷惑の主要課題かもしれない。ゴミ屋敷や鳩屋敷、様々にあるのだが。音響の退っ引きならない切迫性、除夜の鐘もクレームになる時勢だが。

他者への耐性は凄く閾値を下げる。我慢しない。過剰な反応も多発する。自分の利便や快適さを追求して止まない。

戦後間もないころ、若かりし作曲家の武満徹はピアノの練習に苦慮して、ピアノの音がする家を訪ねては「ピアノを弾かせて下さい」と懇願した。

「快く貸してくれたもんです」

「今、同じこと言われたらピアノ貸しますか?」

「貸さないです」

あの時代だから、出来たこと、そう武満は語った。

防音の部屋では近隣に、未来の作曲家にさえ音は漏れない。