カレーたまごの日記

小説やノベル、文芸について書きます。

広島原爆記念日。

1945.8.6から2024.8.6。原爆記念日。非戦反戦の誓いも新たに。井伏鱒二「黒い雨」を読むと原爆の悲惨さがわかる。井伏は郷里福山の1945.8.8空襲も小説にしている。「かきつばた」

戦時中は作家たちは挙国一致の文化統制のまま戦意向上の文筆を強いられた。山岡荘八は戦後反戦の誓いを果たすために「徳川家康」を執筆した。多くの小説家が時局に阿って好戦的な文章を書いた。軍部を文化的文芸的に支えた。清沢冽「暗黒日記」も秀逸だが自由に書けなかった境遇を偲ぶ。

井伏は「黒い雨」を書いたが故の様々なことを経験する。「盗作疑惑」がそうだ。手記を元に書かれた小説だったが承諾済みであったにも関わらずである。政府が米国に過剰な忖度をしたが故の顛末だったのか。敗戦後は占領軍に生殺与奪を握られているとは言えこの国の官僚機構のメンタルはそんな伝統があるのかもしれない。軍部は公文書を破棄した。これでは歴史が正しく表記されない。毎日新聞の「一億人の昭和史」には従軍した記者が命懸けで写真を持ち帰ったものが多数記載されている。「発禁」のハンコが刻印されている生々しい証言がある。