カレーたまごの日記

小説やノベル、文芸について書きます。

真夏の夜の宴のあと

 夏の渋谷の夜。久方のの帰り道。突如、立体歩道橋の上で女子が歌い出す。ネット配信が盛況だが多分、あわよくばのバズリを狙ってのことなのかそれとももう既に有名過ぎて余興の配信なのか。投げ銭狙いの路上ライブでもない。歩道橋の上なので。風が強い。

 

 思えばネット配信ばかり見ている。もうテレビを見なくなって久しい。いつの日からかお笑い系やマイノリティの希少性を売りにしたタレントたちの仕切るバラエティが席巻してしかもドラマがつまらない。韓国ドラマを見てしまう。復讐を巡る財閥界隈のストーリー。最近は幽霊異界系やら先祖供養に因んだ霊感チックなものまで。

 

トマス・ピンチョンBleeding Edge』の作中でドキュメンタリー制作者のレッドがyou 

tubeの盛況を予見する。

「もうテレビを見なくなって自分で撮影した映像をインターネットにアップする時代が来る」

同時多発テロの前のテックバブルの余韻があった頃の話だ。

 

街中で音楽に出会うのは久方ぶりだった。通りすがりの刹那、感動した。