カレーたまごの日記

小説やノベル、文芸について書きます。

孤独な作家の饒舌な小説それは。

小説家の創作の話は個別に面白い。芥川賞受賞作家の田中慎弥の対談配信の後半がアップされていたので早速視聴した。

「薄汚い仮面を外したり外されたりする」話が面白い。「職業は作家です」それは「事実無職と同じなんです」ベストセラー連発の作家とは違ったいかにサバイブするかを日々死ぬほど考える作家レベルの置かれた状況の話。三島由紀夫の「仮面の告白」のような自意識過剰でなければ作家物書き小説家としての存在証明の初歩段階である自己韜晦を忌避しながらも自己証明を果たしたいその真摯な文学者の実情。いつしか映像マン高橋はインタビューしながら自問自答を交えて表現論を展開する。優れた小説は読者を自問自答させ虚構の中で自己対話させるセルフダイヤローグの状況を創る。

小説の創作営為の根本は「孤独な時間」だ。集団思考ではない。組織的なシステムでは小説はできない。会話も対話も創作の内実ではない。作家の創造的主体が全てだ。そこが分業ではないましてやAIに仮託した生産性アップの効率至上ではない文芸の真実があると田中は語っていたかもしれない。真意は知らない。だけど映像マン高橋はいい仕事を完遂したとおもう。