カレーたまごの日記

小説やノベル、文芸について書きます。

店主の日記が面白い。

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Xで知って今日来た。『頁をめくる音で息をする』著者は1993年生まれ。福山市出身。尾道の古本屋弍十dB店主。福山市に多い藤井さん。

いつの日か藤井という題名の小説を書きたい。全国の名字でも佐藤や鈴木や田中が上位3位だけど福山は圧倒的に「藤井」なのだ。佐藤鈴木田中のパーセンテージよりも多い筈だ。藤井密度が高すぎる福山の名字事情。そして藤井は大概名前で呼ばれる。名字では間違いなく呼ばれない。この著者は「基ニ」さんだが名前で呼ばれただろうと思われる。経験的に。そして東京なんぞではフジイは尻上がりのイントネーションだ。尻下がりで呼ばれていた筈なのに。地方出身の方言つかいが大都会に行って言葉に馴染んでも直らないのがイントネーションだ。この語感の音感覚はまず直らない。染まらない。

福山生まれで高校までいて京都の大学終わって尾道に移住した経歴が興味をひく。本の中でも尾道の移住者ワールドがさすが港町のいい感じで例えば尾道ラーメンも移住者の屋台から生まれた。尾道では「中華そば」だけど。魚介系も入っていないのがスタートだけど。

檀一雄のエッセイの抜粋を刻印した銅板を店の入り口の壁に掲げていた「朱華園」はもうないけれど。あの中華そばの透明感あるスープはもう飲めないけれど。『騎士団長殺し』を読みながら開店を待っていた時店主の壇上さんが1時間早く開けてくれた。1時間半前にいたのだけど。開店前に丼をもったおばさんたちの群れがあった。すごいなと思った。次の帰省で行ったら定休日だった。それでつたふじへ行ったのだけど開店前に一時間待って入店して注文しようとしたら電話がかかった。「出前30人分入りましたけど」と割り込まれたわけだけど。店主を見てると「注文は?」とちゃんと順番守ってくれた。ここは濃厚で味わいも違うわけだけど。店外に出ると空恐ろしいほどの長蛇の行列があった。尾道はいい町だ。そこに移住して深夜11時から午前3時まで営業する古本屋をずっと経営している。なんか急逝しちゃった西村賢太氏を思い出したり初台でfuzkueを開店した阿久津隆氏を思い出したり。彼の読書日記は長くて面白いけど藤井基ニ氏の日記も面白い。詩的なそれでいて私的なセンスが鮮烈な感じだ。センテンスがうまい。そして感涙喚起もうまい。

今度、尾道に行ったら中華そば食べてまた福山から尾道に戻って駅から歩いて店に行ってみたい。