カレーたまごの日記

小説やノベル、文芸について書きます。

今、西村賢太「一私小説書きの日乗 不屈の章」を読んでいる。

 

今、西村賢太「一私小説書きの日乗 不屈の章」を読んでいる。このシリーズはよくわからないけど癖になってしまう。本当に不思議な作品だけど。

 

中卒を売りに藤澤清造やら田中英光..など破滅的私小説の書き手を自分の文学師匠と仰ぐ。でも太宰とか檀一雄でもない。

 

苦役列車」で芥川賞。映画化された。前田敦子のキャスティングで話題になったけど。「どうで死ぬ身の一踊り」はよかったね。「小銭をかぞえる」もいい。

 

自分の分身を主人公に露悪赤裸裸でも冷めた視点視座と文章が巧み。高校も大学もいかず肉体労働に従事していた。家族離散。全て文学修行に注ぎ込む。別に学歴も知識もいらない。文学は生きてた全部を表現すればいい。

 

今時珍しい「無頼派」というのは編集者や編集長と確執があったり、勝谷誠彦を暴行寸前までやったり..文壇バーでつかみ合ったとかの。武勇なのか..。

 

でも悲しいまでに自分だけ..自己憐憫を乗り越えた世界と対峙するでもない。でも何故か..なんでなの..。

 

日本独特の私小説..。凄く魅力あるなぁ。

 

この作家のように自分をあそこまで露悪偽悪に書き込めない。しかも陰惨だけどユーモアもある。

 

まぁ希少..それ以上でもそれ以下でもない。いろいろな作家の小説を読んで我がノベルに生かすだけのこと。